私が立ち上げたドッグイベントクラブの象徴的イベントである「ドッグタイムレース」。
今回は、その内容と魅力についてご紹介します。
ドッグタイムレースとは?
「犬の50メートル徒競走」です。
基本スタート担当の飼い主が「よーいスタート」の合図と共に愛犬を放し、ゴール担当の飼い主が呼び戻しをして走らせるスポーツです。(飼い主がお一人の場合、スタートはスタッフが行います。)
「たまたまイベント会場にきて、たまたま参加したら完走できた。」をコンセプトに完走率99%誇る一般愛犬家向けドッグスポーツです。
2004年の開始以来何万頭といったワンコたちに走ってもらっています。
誕生した経緯
ドッグタイムレースをスタートさせた当時のドッグスポーツと言えば、アジリティーやディスクドッグが主流でした。
それらの競技はどれも素晴らしかったですが、初心者コースでもある程度のトレーニングが必要となりますのですぐに参加することはできません。
実際、愛犬を連れて観戦に来ていた飼い主も競技中のワンコを見て「すごいワンちゃん!うちの子には無理かな」と最初から諦めている方が多く、それらの光景を何度か見ているうちに「誰でもどんな子でも参加できるドッグスポーツを作りたい」と思うようになりました。
考えを巡らすなか「犬って50mを何秒で走るんだろう?」「人間とどっちが早いんだろう?」と疑問が湧き始めました。
50mのタイムならほとんどの飼い主は子供の頃計測したはずで、愛犬とどっちが早いか比べることができます。
また、ハードルやスラローム、シーソーなどの障害物に慣れさせたり、フリスビーを口でキャッチさせるためのトレーニングを行う必要はなく直線を走るだけなので、基本どの犬も生まれながら自然と身についているものです。
何より、うちの子はもとより、犬のなかでどの子(犬種)が一番早いのかをイメージするだけでもワクワクしてきます。
早速、当時私や一緒に取り組んでいた会社スタッフの愛犬たちの協力を得て試走を何度か行い今のドッグタイムレースの原型を作りあげました。
愛犬を走らせるのは「飼い主の魅力で!」
私が今まで手がけてきたドッグイベントには「しつけ要素」を必ず取り入れるようにしており、このドッグタイムレースでは「呼び戻しの強化」を図りたいと考え設計しています。
しつけをする目的は「愛犬の命を守るため」が私の持論です。
そのための必須トレーニングは「まて」と「呼び戻し」です。
ドッグタイムレースでは、ゴールで呼ぶ飼い主さんは「おやつ」や「おもちゃ」の使用を禁止しています。(私は命を守るしつけにおやつを使うことは否定的です。)
あくまで「飼い主の力」のみで向き合ってもらいます。
50m先にいる愛犬に思いっきり走ってきてもらうには、大きく楽しそうな声のトーンと、身振りで名前を呼ぶことが必要です。
恥ずかしがって、小さな声や小振りだと愛犬は気づかず目標を失います。
「あれ?何だかいつもと違うテンションだぞ?面白そうだから行ってみよう!」と愛犬に思わせないといけません。
そして、自分に向かって一生懸命走ってきてくれる愛犬がゴールしたときは、嬉しくて心の底から自然と褒めていたりします。(なかには半泣きの方もいらっしゃいます。)
何度も繰り返すうちに、最初こそ小走りでゴールしていた我が子も最終的には本気走りで飼い主のもとに駆け寄ってくるようになり、タイムも飛躍的に伸びます。
「飼い主と遊ぶのは楽しい」を強化すればするほど名前を呼ばれたら条件反射で戻ってくるようになったり、そもそも側を離れなかったりします。
そうなれば、自ずとおやつやおもちゃは不要となります。
「おやつがなければ戻ってこない」ほど悲しいことはありません。
それは家族の一員ではなく「ペット」だと私は思っています。
ドッグタイムレースは絆を深めあう最高のスポーツだと自負しています。
ドッグタイムレースが愛犬に自信をつけさせる!
ある保護犬とその飼い主のエピソードをご紹介します。
その子は散歩が苦手で外に出ると怯えて一歩も動かなかったそうです。
何とかしたいという思いからドッグタイムレースにご参加いただき、時間はかかりましたが何とかゴールできました。
それから何度も足を運んでいただき、愛犬が完走するごとに飼い主はたくさん褒めていました。
タイムも走るごとに縮まり、怯えたり震えたりすることも減ってきたなかで、当時定期的に開催していた大会に出場、見事優勝を飾りました。
そのとき飼い主が涙を流しながら喜び愛犬を讃えている姿は今もしっかりと覚えています。
それからというもの怖がることもなく散歩に行けるようになったそうです。
「自慢のうちの子」といった飼い主の心理が愛犬に大きな自信をつけさせたのは言うまでもありません。
もちろん、同様の悩みを抱えている全てのワンコや飼い主に当てはまるわけではありませんが、このドッグタイムレースがきっかけでご家族を幸せにすることができたことは感無量でした。
ドッグタイムレースに参加しよう
現在、場所や回数は限定されてしまいますが、ぜひドッグタイムレースに参加してみてください。
私は主催するドッグイベントクラブを退職しましたが、今でも経験豊富な素晴らしいスタッフが運営し初参加の方をしっかりサポートしてくれます。
ぜひ感動体験を味わってください。
ドッグイベントクラブURL:https://www.doglife.info
まとめ
「全力で走る」のは普段の散歩とは比べものにならないくらい疲れます。
ドッグタイムレースの魅力の一つは、帰りの車中で爆睡する我が子を見てさらに幸せな気分になれることです。
あるジャックラッセルテリアの飼い主は「爆睡させたら私の勝ち、できなかったら私の負け」と何度も走らせ楽しい勝負を挑まれていました。
そうやって飼い主のテンションが高くなるとワンコも喜びます。
犬は遊ぶことが大好きです。
それが飼い主となら最高です。
ドッグタイムレースが充実したドッグライフの一助となることを心より願っています。