愛犬のドッグランデビューは慎重に!その理由と対策を専門家が解説

愛犬のドッグランデビューを考えている飼い主さん。

安易に行くことはおすすめしません。

なぜなら、思わぬトラブルに巻き込まれたり、愛犬が怪我やトラウマを負うことだってあるからです。

そうならないためにも事前にしっかりとした準備(しつけなど)と知識を備える必要があります。

楽しくドッグランデビューするためのポイントを今からご紹介します。

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目次

愛犬をドッグランに連れて行く目的は?

私は「ノーリードで飼い主と一緒に遊ぶため」だと考えます。

決して「他の犬と遊ばせるため」ではありません。

正直、遊ばないワンチャンの方が多いです。(月齢にもよりますが・・・。)

いきなり、今日初めて会った子といきなり意気投合することの方がレアです。

また、安易に近づけることによるトラブルも多く発生しています。

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もう一つ多い誤解が「思いっきり走らせるため」です。

これは100%間違っているわけではありませんが、「愛犬が勝手に走り回る」「今日初めて会った犬とかけっこをする」といったイメージを持たれているのであればそうならないことの方が多いです。(むしろそれが普通ですが・・・)

「思いっきり走らせるため」は飼い主と一緒に遊ぶ延長線上だとお考えください。

最後に多い誤解が「子犬に社会化をさせるため」です。

これも100%間違っていはいませんが条件付きとなります。

ドッグランに来ているワンコたちのしつけがしっかりできていることです。

残念ながら、ドッグトレーナーが管理をされているようなドッグラン施設以外は難しい条件となります。

社会性を身につけさせるために良かれたと思ったことが逆効果になってしまうことの方が多いかもしれません。

ドッグランは、素性がわからないなワンコと遊ばせるための場所とは考えず、愛犬が勝手に走り回ったり、子犬の社会化を重要視せず、「ノーリードで思いっきり飼い主と一緒に遊ぶための場所」とお考えください。

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ドッグランに行くのを焦らない

「ノーリードで思いっきり飼い主と遊ぶ」ためには最低限行うべきしつけと知識を学ぶ必要があります。

無知なままコントロールができない愛犬を連れて行くことは危険です。

逆に、しつけができていないワンコがドッグランにいる可能性もあります。

安易に連れていき、愛犬が怪我をしたり、させたり、嫌な思いをして本来なら与える必要のない心の傷を負わせることだってあります。

無料のドッグランなども増え気軽に入れること自体は歓迎すべきことですが勢いで入ることはやめましょう。

しつけと知識をしっかりつけるようにしてください

最低限必要なしつけとは?

「まて」と「呼び戻し」です。

これらは、基礎中の基礎で「愛犬の命を守る」ためにとても重要です。

また、「愛犬の命を守る」ということは、他のワンコの命を守ることにも繋がります。

詳細、方法は下記記事をご覧ください。

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続いて「噛まない」ことです。

「甘噛み」は成長過程で必要な行為ですが、度が過ぎると母犬は「痛い」と叱ります。

その加減を教えてあげる必要があります。

他の犬や飼い主を本気噛みしてからでは遅いです。

「噛み癖」のある子はしっかりと教育していきましょう。

詳細、方法は下記記事をご覧ください。

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ドッグランの利用は愛犬をコントロールできていることが最低条件だと私は考えます。

何度も言いますが、危害を加えたり、加えられたりしてからでは遅いです。

「まて」「呼び戻し」「噛み癖防止」のしつけは「義務教育」

最低限必要な知識とは?

「カーミングシグナル」という言葉を知っていますか?

犬が不要な争いを避けるために自分の立場や感情を音声を使わずに、しぐさで相手に伝える行動(ボディランゲージ)をカーミングシグナルと言います。カーミングシグナルは、犬同士のコミュニケーション手段であると同時に、私たち人間にも使用されるものです。

犬の「カーミングシグナル」とは?種類と向き合い方

ドッグランに行く上で最低限知っておいてほしい仕草は「目をそらす(その場を立ち去る)」「尻尾を下げて後ろ足に挟んでいる」「尻尾を高くあげている」です。(同時に唸っていたりもします。)

「目をそらす(その場を立ち去る)」

状況によって色々な意味がありますが、ドッグランで他のワンコに対しこのような仕草を見せた場合は、「あなたとは関わりたくありません。」と言っている可能性が高いです。

「尻尾を下げて後ろ足に挟んでいる」

相手のワンコに対し怯えています。

尻尾が短い犬種は耳が後ろにつくように倒していると同じような意味があります。(お尻を振っている状態の場合は別の意味となります。)

「尻尾を高くあげている」

相手のワンコを威嚇しています。

喧嘩が始まる可能性もあります。

以上のようなカーミングシグナルを示した場合、速やかにそのワンコから遠ざける(ドッグランを出ることもか検討する)ことが必要です。

無理やり遊ばせることは「虐待」です

なかには嫌がっているのに無理やり「お友達〜」と言って合わせようとする飼い主がいます。

それははっきり言って「虐待」です。

愛犬からの信頼も失います。

また、威嚇をしているのに遊んでいると勘違いしている飼い主もいます。

「犬類皆兄弟」ではありません。

合わない子は合わないのです。

しっかりと事前にカーミングシグナルを理解してドッグランに行くようにしましょう。

デビューにふさわしいドッグランの条件は?

必要最低限のしつけもできて、カーミングシグナルも理解したらドッグランデビューもあと少しです。

最初が肝心です。

そこで嫌な経験をすれば二度と行きたがらないでしょうし、楽しければもっと大好きになります。

ドッグラン選びのポイントは2点です。

無料ではなく有料の(理想はドッグトレーナーが常駐している)ドッグランに行く

いくら、しつけや知識を持ったとしても初めての場合は何が起こるかわかりません。

何かあったときにトラブルを一緒に回避してくれるスタッフがいることが望ましいです。

ドッグトレーナーが常駐し「初めてです」と伝えサポートしてもらえたらなおのことベストです。

もちろん、無料ドッグランでも良いところはたくさんありますが1点注意があります。

ぬし的な一般の飼い主がいて根拠不明な独自ルールを作っているケースです。

仮にそういったぬしに遭遇した場合、速やかに退場することをおすすめします。

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空いている曜日や時間を選んで行く

いきなり、芋洗状態のドッグランに入れられると愛犬はもとより、飼い主も混乱してしまいます。

貸切に近い状態が望ましいです。(貸切ができるドッグランならそれもありだと思います。)

スタッフがいるドッグランであれば空いている日時など事前に確認を取ってから行くようにしましょう。

ドッグランへ入る前に注意することは?

ドッグランに到着してすぐ入場する前にしてほしいことをご紹介します。

できる限り排泄を済ませてから入場する

例えば、うんちを拾い目線を戻すと瞬間愛犬を見失うことだってあります。

その間に遠くでトラブルを起こしていたらすぐに対応できません。

また、他のワンコが排泄中に近寄ってきたり、それらを踏むことだってあります。

愛犬も無防備の状態なので落ち着きませんし、衛生的にもよくはありません。

全て外で済ませることは難しいかもしれませんが、できる限りさせてから入るようにしてください。

入場前にしっかり観察する

空いている時間を狙ってたとえ数頭であったとしても、なかに入っているワンコや飼い主は必ず観察してください。

活発な子なのか、おとなしいか、飼い主の指示を聞いているか、無視をしているか。

そもそも、飼い主がワンコをしっかり監視しているかなどなど・・・。

多頭飼いのワンコがいる場合

飼い主の目が行き届いていない場合があり、入場したと同時に家族犬が束になって向かってくることもあります。

囲まれて一斉に吠えられることもあり恐怖です。

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小さなお子さんがいる場合

いろいろなワンコを追いかけたり、不意に触ったりしているお子さんがいたら要注意です。

愛犬にとってみれば恐怖ですし、子供嫌いになる可能性だってあります。

最悪、防衛本能からお子さんを噛んでしまうと取り返しがつきません。

これらの状況が見てとれたのであれば入場を控え様子を見るようにしましょう。

たった一度の嫌な体験がトラウマになることを念頭に焦らず観察しましょう

いよいよドッグランデビュー!注意すべき点は?

さて、いよいよドッグランデビューです。

どういったことを注意しながら過ごせばいいのかお伝えします。

リードをつけまま入場する

リードをつけたままドッグラン内を歩いて他のワンコが近寄ってきたときの愛犬のカーミングシグナルを確認してください。

尻尾を丸めたり、耳を後ろに倒していたり、極度に震えていたら一度退場して様子を見ましょう。

そのような様子がなければリードを注意深くはなして見てください。

なお、無理やり「挨拶」とか言って相手のワンコのお尻に愛犬の顔を近づけたり、その逆をすることはやめてください。

強制してのそれは挨拶ではありません。

愛犬から目をはなさい

ドッグランで愛犬をほったらかして談笑している方を見かけますが絶対にやめてください。

その子が他の犬を執拗に追いかけたり、マウンティングをしていたり、排泄をしたとしても気づかないのは問題です。

できる限りうちの子のそばを離れず、万一それらの行為をした場合は速やかにやめさせたり、処理をしてください。

また、された場合はその子から愛犬を引き離してください。(場合によってはドッグランから出てください。)

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ドッグランは飼い主の監視をフリーにして良い場所ではありません。

むしろ、リードをつけているとき以上に目を光らせる必要があります。

談笑などはやめてしっかり愛犬を見守りましょう。

定期的にリードをつけよう

愛犬には常に飼い主の存在を意識させる必要があります。

ドッグランのなかには飼い主の存在など忘れ走り回っている子もいますが、それらのワンコはいざ呼び戻しをしても無視をして帰ってきません。

制御できないワンコが自由に放たれていることほど危ないことはありません。

そこで、定期的に呼び戻しを行い飼い主の存在を認識させ続けることが重要です。

その方法は下記の通りです。

STEP
呼び戻しを行ってください。

万一、呼んでも帰ってこなかった場合は飼い主自身が捕まえに行ってください。(必ず捕まえてください。諦めると愛犬はますます逃げます。)

STEP
戻ってきたらリードをつけてしばらく待機します。
STEP
愛犬が落ち着いたらまたリードをはなします。

「リードをつけられてもまたはなしてもらえる」という条件付けをすることが大切です。

上記3ステップをドッグランにいるあいだ何度か行ってください。

そうすることで、「常に呼ばれたら戻る必要がある」と愛犬に刷り込むことができ、飼い主の存在を忘れることはなく万一の危険を回避しやすくなります。

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他のワンコと喧嘩が始まったら?

犬同士の喧嘩が始めると飼い主もパニックとなりただ呆然と立ち尽くす可能性があります。

放っておくと、大怪我をしたり命の危険すらあり一刻も早く引き離したいところです。

理想は、喧嘩の間に割って入り止めることだったりしますが、飼い主自身も傷を負うかもしれません。

そう言った場合は「着ている服を犬に被せる」「手に持っている水や、水飲み場の水を運び犬にぶっかける」「大きな音を立てる」などして気をそらしてください。

犬同士がはなれたすきに捕まえてリードをつけ速やかに退場しましょう。

愛犬から目を離さず、加害者や被害者になる可能性があれば速やかにリードをつけて退場しよう

愛犬との遊び方

ここではドッグランで愛犬とどのように遊べばいいのかをご紹介します。

呼び戻しゲーム

STEP
複数の家族で遊びにきている場合、それぞれドッグランの任意の場所にバラバラに広がります。
STEP
ある人が愛犬の名前を呼びます。

呼んだ人の元にきたらたくさん褒めてあげてください。(食べ物を与えて良いドッグランであればおやつがご褒美でも可)

来なかった場合、捕まえに行ってください。

STEP
別のご家族が愛犬の名前を呼んでください。

ステップ2と同様にしてください。

なお、3人以上いる場合、呼ぶ順番はランダムで構いません。

ただし、呼んでもいないのにきた場合は、褒めたりおやつを与えたりしないでください。

以上のことを繰り返すことで、「名前を呼ばれたら良いことがある」と条件付けされ、より呼び戻しが強化されます。

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また、他の犬に関心を示さず集中して戻ってくる習性がつけばトラブルに巻き込まれにくくなります。

先住犬とはひと気のない時間帯のドッグランを見計らってよくこのゲームをしていました。おかげで呼び戻しはバッチリでした。

おもちゃ(飼い主)探しゲーム

STEP
愛犬にマテをさせて、大好きなおもちゃを見せた上でドッグラン内に隠します。

マテができないようであれば、パートナーが首輪を持ったりするのもOKです。

おもちゃが利用不可や関心を示さない場合は、飼い主が隠れるのも可です。

STEP
隠した後「よし」と言ってマテを解除してください。

おもちゃや飼い主を見つけたら褒めてあげてください。

なかなか見つからない場合、あるいは飽きてきそうな場合はおもちゃを隠している辺りに誘導するか、隠しているおもちゃを愛犬の近くに投げてあげてください。

飼い主が隠れている場合は、そこから愛犬の名前を呼んでみてください。

大切なことは「必ず最後は見つける」ということです。

その成功体験を積ませてどんどん探すことを大好きにすることで他のワンコもきにせず遊ぶようになります。

シンプルな隠れんぼとしては、愛犬が飼い主から目を離したすきに、素早く隠れたり、別の場所に移動して見てください。

側にいるはずのない飼い主が突然いなくなり、探し、見つけて近寄ってきたら褒めてあげてください。

私は、うちの子がちょっとでもすきを見せたら隠れます。

そうやって常に自分への関心を持たせ続ける条件付けを行っています。

他にも工夫次第で一緒に遊べるゲームを作ることができます。

ぜひ、思いついたことを試しながら愛犬とドッグランで楽しく過ごしてください!

まとめ

「ドッグランに行くだけでこんなにハードルが高いのか!」

と思われる飼い主もいるかもしれません。

ですが、ドッグランで一生のトラウマを抱える子は多く、私の先住犬もある犬種の子に噛まれ、それから亡くなるまでその犬種のワンコを見ると唸っていました。

他集団のワンコたちがノーリードで囲われたなかにいるというのはある意味異常な光景です。

そこには、リードをつけている時以上のトラブルが起きる可能性が潜んでいます。

大怪我や最悪死に至ることだって考えられます。

楽しむためにきたドッグランなのにです。

ドッグランで遊ばせることを安易には考えず、しっかりと必要最低限のしつけを行い、知識を身に付けるなどできる限り万全の体制でデビューさせてあげてください。

そして、「折角きたのだから」と不安要素があるにも関わらず入るのではなく、「入らない勇気」を持つようにしてください。

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