犬のしつけの基本と言われる『おすわり』と『まて』。大切なのはどっち?

子犬を迎え入れ最初に行うしつけ(トレーニング)が「おすわり」と「まて」だという飼い主は多いのではないでしょうか?

実際、そのコマンドの出し方はネット上に溢れているかと思います。

そもそも、なぜ「おすわり」や「まて」の練習を行うのでしょうか?

私は「まて」ができればおすわりはできなくても良いと考えています。(もちろん両方できれば望ましいですけど。)

その理由を説明します。

あわせて読みたい
【とことんドッグライフ】オンラインレッスン・サポート ドッグライフディレクター「上野洋一郎」がオンラインで繋がりレッスンやサポートいたします。
目次

「おすわり」は「まて」をさせることが目的

おすわりを教える目的は「まて」ができるようになって欲しいからです。

つまり、「まて」の中に「おすわり」が含有されているとお考えください。

先日、トイプードルや柴犬の飼い主より「綺麗なお座りができない」「姿勢が崩れていく」といった相談を受けましたが、「まて」ができているのであればそれらは重要ではありません。

「おすわり」以外の待ち方として、その場で立ったままやフセなどがあります。

どれも正解です。

どのタイプでも飼い主が出すコマンドに従い、解除されるまで集中しながら「まて」を続けていることが肝要です。

なぜ「まて」が重要なのか?

「まて」は愛犬の命を守るために重要であって「呼び戻し」とワンセットで必ず覚えさせてほしいコマンドです。

「まて」と「呼び戻し」は愛犬の命を守るために極めて重要

あわせて読みたい
しつけ(ドッグトレーニング)は『愛犬の命を守る』ことが目的です 愛犬が家族の一員であるならば、うちの子の命を守ることが親(飼い主)の責任です。あなたは守れていますか?
あわせて読みたい
落ち着きがない愛犬に「まて」を覚えさせドッグカフェデビューをしよう! 愛犬を家族の一員だと思うのなら「まて」を覚えさせることは必須です。落ち着きがない子であれば尚更です。今回はその理由と、トレーニング方法、お出かけに役立つ便利な応用方法を解説します。

飼い主は、常に愛犬のテンションをコントロールする必要があります。

うちの子が自分の思うがままに要求や感情をむき出しにして、興奮を抑えられなかったらどうなるでしょう?

要求が通らなければ飼い主に対し、感情的に唸ったり、吠えたり、威嚇したり、最悪噛んでくることだってあります。

さらに、犬はその要求を拡大していく傾向がありますので、近所の人や犬、旅先などで出会ったご家族に対してもあたり構わずそのような行動を取られると非常に困ってしまいます。

また、興奮を抑えられないと道路を飛び出したり、ドッグランでも暴れ回ったりする可能性があります。無論、呼んでも帰ってきません。

その結末は、手がつけられず暴力的トレーニング(虐待)をしたり、飼育放棄をしたり、保健所送りになることだってあります。

事故にあったり、人や犬を傷つけてからでは遅いのです。

あわせて読みたい
子犬のしつけの順番は?リラックスポジションからスタートしよう!【初級編】 子犬を迎え入れて行うしつけの順番としては最上位となる「リラックスポジョション」。ぜひ、この解説記事を見てすぐに取り組んでみてください。
あわせて読みたい
子犬のうちから噛む、唸るの予防が大切。その方法をわかりやす解説! 長年しつけ教室を実施してきて思うことは実際に困ってから参加するのではなくて、そうならないため早めに来て学んで欲しいということです。「噛む・唸る」もその一つ。今からすぐに取り組みましょう!
あわせて読みたい
愛犬が呼んでもこないを克服しよう。呼び戻しトレーニング決定版!! あなたの愛犬はどんな環境でも、おやつがなくても名前を呼んだら帰ってきますか?愛犬の命を守るために「呼び戻し」はとても大切なトレーニングです。正しい取り組み方を解説しています。地道に頑張りましょう!

「まて」は自制心を育む

最初にマテを行う場面は食事の前だと思います。

食欲が強い子であればあるほど、感情が高ぶり興奮して「早く食べたい」とガッツきます。

その本能のまま食事をあげるとどうでしょう?

その行為が承認されたことになり、その子はますますそれらの行為が激しくなっていきます。

あわせて読みたい
【子犬の要求吠えに悩んでいる飼い主必読】主導権を取り戻そう!! 「朝4時に散歩に連れて行けと起こされて困っている。時間がどんどん早くなってきている」と言う飼い主さんの悩みをもとに主導権を愛犬に渡さない重要性を説明、その対処法を紹介しています。
「お散歩」での症例ですが、要求が激しくなり日に日に散歩時間が早くなり困っているとの相談に対するアンサーです。

「まて」をさせることで興奮を抑え、冷静で落ち着いた状態にさせる必要があります。

そして、冷静になった時点でご飯をあげ、「落ち着いたらご飯がもらえる」と条件付けを行います。

自分の欲求を通したいときには、「まず落ち着く=自制心を持つ必要がある」と覚えさせる必要があります。

「まて」という言葉がそのスイッチになると思ってください。

愛犬を落ち着かせ自制心を失わないようにさせるために「まて」が必要

あわせて読みたい
愛犬への待ての教え方、中途半端になっていませんか?再チェックしよう! 「しつけがうまく行かない」と悩んでいる方は、新しいテクニックを覚えようとする前に、今行っている方法を再点検する必要があります。今回は「まて」を取り上げます。一度見直してみましょう!

「まて」の教え方

それでは、具体的に「まて」のさせ方を解説します。

STEP
食事の用意をします

「うちの子、食に関心がない」といった相談もよく受けます。病気の疑いや、体調が悪いなども考えられますが、シンプルにその食事が好きではない(美味しくない)こともあります。その場合は、ドッグフードを変えてみたりしてください。

あわせて読みたい
犬の食べ物はドライフードだけではない!うちの子にあったフードは? 愛犬が嬉しそうにご飯を食べている姿を見ると幸せになりますよね。逆に、食欲がなければ不安になります。その時は、食事の内容を変えればよくなることも!うちの子にあった食事選びのファーストステップ。「どんな種類があるの?」を解説します。
STEP
食事が入った容器を愛犬の前に持っていき「まて」といってください
  • 「マテ」はできる限り低く重量感のあるトーンで言ってください。(声が高いと愛犬のテンションが上がる可能性があります。発する言葉は「stop」や「Wait」でも何でも大丈夫です。)
  • 同時に手のひらを愛犬の顔の前に広げてください。(視覚的に教えることも重要です。)
STEP
強引に食べようとしてきたら食器を上にあげてください

飛びつくこともあるかと思います。素早くあげてとられないようにしてください。

STEP
落ち着いてその場に立ち止まったら食器を地面に置いてください
  • 食べようとしたら、手のひらを愛犬の前に広げながら「マテ」と何度も言ってください。
  • 食べにくるのをやめなければ、ステップ3に戻ってください。
STEP
食べに来なければ「よし」といって与えてください

重要なことは、「妥協しない」ということです。

  • 何度やってもできない場合は、ステップを行ったり来たりしてできるまで必ずしてください。
  • 「今日はこれぐらいでいいかな」はNGです。
  • 会社行く時間が間に合わない場合は、余裕を持って早めに与えトレーニングをしてみてください。

最後までせず、中途半端な状態で与えた場合、犬の根気が勝ったことになり、次回からは「もっと粘ってやろう」と益々興奮を抑えられなくなる可能性だってあります。

「飼い主根性あるな」

と思わせるぐらい徹底的にしてください。そうすれば、愛犬が根負けをして自ら落ち着くようになっていきます。

早い子は1日で覚えていくはずです。

あわせて読みたい
大好きなご飯を前に興奮する子犬を落ち着かせる方法は? ワンコにとってご飯は散歩と同じくらいテンションが上がる子が多いですよね。その姿を見ているとこちらも嬉しくなりますが、将来のことを考えるとしっかり落ち着かせることが重要です。その理由と方法をご紹介します。
ご飯の準備前から興奮している場合はまずこちらから取り組んでみてね

勝手に解除させない

犬のトレーニングは「タイミング」が重要です。

タイミングがずれると飼い主が考える条件付けと異なる受け取り方をしてしまいます。

今回の場合、食器を地面を置いて「よし」という前に食べに行こうとしたらどうでしょう?

8・9割は指示に従ってますが、最後の最後に自分(愛犬)の意思で解除をしていることになります。

それでは意味がありません。

「まて」と「よし」はセットです。

食器を床に置いても「まて」を維持させてください。

「よし」といってはじめて「待っている状態から動いて食べにきていいんだよ」と教えてください。

「まて」から始まる指示は「よし」で完結。愛犬に勝手に解除をさせてはいけません。

あわせて読みたい
【初めての子犬トレーニング】おすわりのコツはタイミングが重要です 「まて」の発展形である「おすわり」。子犬を迎えるとまず行う入門的なトレーニングだったりしますが、実は奥が深く間違った方法で教えると、その後の愛犬との関係に影響が出ることもあります。そうならないための方法をお教えします。

ジェスチャー(仕草)だけで待てるようにしよう!

言葉と同時に、愛犬の顔の前に手のひらを見せることも行ってください。

それを繰り返し行えば、ジェスチャーだけでも「まて」ができるようになっていきます。

あまり声を出せない環境や、少し遠くにいるうちの子に対して有効です。

「まて」の応用

食事の「まて」ができるようになると、様々なシーンに応用してみてください。

例えば、

  • 散歩に行くときカラーやリードを装着するとき
  • 家の外に出るとき
  • 散歩中、リードを引っ張りすぎるとき
  • ドッグランで遊ばせていてテンションが上がりすぎたと感じたとき

などなど。

いずれにせよ、興奮してきたり、落ち着きがなくなってきたと感じたら「まて」をさせてクールダウンさせましょう!

あわせて読みたい
散歩中、通行人に吠える愛犬へのNG対応とは?簡単な解決法とは? 愛犬が吠えたときの対処法、多くの飼い主が間違っています。ワンコの習性をしっかり理解した上で行うことが重要です。トレーニングに適したカラー(首輪)やリードも紹介しています。

成犬になってからトレーニング、保護犬など大丈夫?

保護犬の里親で成犬を迎えいれることもあるかと思いますが何歳からでも間に合います。

ただ、基本子犬以上に根気は必要となります。

辛抱強く、焦らず、時間をかけて取り組んでみてください。

ダメなのは、根負けして諦めてしまうことです。

気を持ち直しトレーニングを再開したとしても、愛犬の根性もパワーアップしていますので、今まで以上に時間がかかってしまいます。

毎日、忙しく過ごしている飼い主であれば、多くのトレーニングをする時間的余裕がない場合もあるかと思います。

そのときは、いろいろなことを広く浅く行うのではなく、優先順位を設け、絞り、一つのことを徹底的に行ってください。

ぜひ、「まて」と「よし」から行ってみてください。

あわせて読みたい
愛犬が飛びついてくるのをやめさせたい場合の方法は「一貫性」を持つこと 「ただいま」と家に帰ると、尻尾フリフリを全開に喜びながら駆け寄ってきてくれると、仕事の疲れも一瞬にして吹き飛んだりしますよね。ですが、飛びついてくるのは危険だったりもします。「嬉しいけどやめさせたい」どうすれば良いのか解説します。

まとめ

ペットではなく、家族の一員(コンパニオンアニマル)として犬を迎え入れたのであれば、愛犬が将来に渡り人間社会のなかでうまく共生できるように育てるのは親である飼い主の努めです。

「厳しいことをしたら嫌われませんか?」

といった相談を受けることもありますがそれはありません。(虐待などしていれば別ですが。)

犬は群れで生きる動物です。

逆に言えば、1頭では生きていけない動物です。

DNAに集団社会で生きていくための機能が備わっています。

厳しくも優しいリーダーには信頼関係のもと付き従います。

実際、母犬も子犬に対し頻繁に教育的指導を行いますが、子犬は母犬のことを嫌いになりません。

「まて」は強いリーダーを示すための大事な一歩です。

ぜひ、うちの子との充実したドッグライフのためにも頑張ってみてください!!

あわせて読みたい
愛犬と本当の信頼関係を構築するには?2つのチェックポイントを確認! 誰もが強く持ちたいと願っている愛犬との信頼関係。それは、愛犬にとって楽しいこと、嬉しいことばかりを提供して築かれるものではないと考えます。その理由を解説します。
あわせて読みたい
【とことんドッグライフ】オンラインレッスン・サポート ドッグライフディレクター「上野洋一郎」がオンラインで繋がりレッスンやサポートいたします。
よかったらシェアしてね!
URLをコピーする
URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!
目次
閉じる