歯磨きを嫌がる子犬への王道レッスン・リラックスポジション【上級編】

歯磨きを嫌がる子犬に対し、好きにさせるまではいかなくとも、慣れさせることは重要です。

犬は歯石がつきやすく、また「 3歳以上の犬の8割ほどが歯周病を発症している」と言われています。

また、口臭なども気になります。

子犬のうちから病気にならないための早めのケアが予防には重要となります。

そのためにも、「口内を触られても嫌がらない」子にする必要があります。

今回はそのトレーニング方法を解説します。

私は、しつけとは「愛犬の命を守る」ために行うものだと定義しています。

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口の中に限らず愛犬のボディチェックを飼い主ができることは基本です。

「しつけはいつから?」

という質問も多く寄せられますが、答えは「今すぐ」です。

ぜひ、この記事を見ながら今日より行動してみてください。

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目次

リラックスポジション初級・中級おさらい

本記事は「リラックスポジョション」という子犬が来て最初に取り組むべき重要なトレーニングの上級編となります。

リラックスポジョションの主な目的は、「どこを触られても嫌がらない」「興奮を落ち着かせる」となります。

それらは、愛犬の命を守るために欠かせません。

まずは、初級編・中級編を実践してください。

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上記レッスンが完了したのち、いよいよ上級編となります。

上級編の目的・内容とは?

初級編・中級編ができたらいよいよ最終段階です。

上級編はリラックスポジョション姿勢のまま、鼻や口などの重要かつ敏感で繊細な器官が集まっているマズル(犬の目元から鼻先・口の部分)を左右に動かしたり、犬歯がある口の中を触ったりしていきます。

マズルを触る目的は?

マズルを触る行為(トレーニング)を「マズルコントロール」と言います。

マズルコントロールは母犬を参考にしています。

母犬は、子犬の鼻先を口のなかに含んだり、少し噛んだり、顎を子犬のマズルに乗せたりします。

そうすることで、「私はあなたより強い」「群れを守るのは私であってあなたではない。だから安心して従って。」と上下関係を明確にするなど犬社会のルールを学ばせていると言われています。

飼い主も母犬と同様のリーダーシップを発揮し信頼関係を育むためにもマズルコントロールが欠かせまん。

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口の中を触る目的は?

大好きなおやつを口の中から取り出せる?

「うちの子の口を開けて、大好きなおやつを取り出すことができますか?」

この問いに「難しい」「絶対無理だ」と思われているようであれば必ずこのトレーニングを行ってください。

昨今、毒や針を混入したおやつやドッグフードを路上に置き、それを散歩中に食べて体調を崩したり、最悪亡くなってしまうなどの悲しいニュースが後を絶ちません。

拾い食いをしたときに、唸って抵抗されたり、噛んできたりしても取り出せる自信はありますか?

恐らく、無意識に手を引っ込めてしまう方もいるかと思います。

飲み込んでしまった後では手遅れになりかねません。

どれだけ大好きなおやつを食べていようが、おもちゃで遊んでいようが、いつでも簡単に取り上げることができるよう「口の中を触る行為」に慣れさせる必要があります。

歯磨きの習慣は子犬のうちから

もう一つが、冒頭でも記した通りワンちゃんのデンタルケアです。

歯磨きが大好きになることは難しいですが、受け入れて慣れてもらう必要はあります。

さまざまな用品が出ていますがやはり、人間同様歯ブラシがベストです。

成犬から慣れさせるのは難しく子犬のうちから早期に取り組む必要があります。

歯磨きができないと溜まった歯垢が硬くなった歯石を動物病院に行き獣医師さんに麻酔をかけて除去してもらうことも考えないといけません。

愛犬の健康を考えるとなるべく避けたいですよね。

その第一歩としても口の中を触ることに慣れさせることが重要です。

上級編トレーニング方法は?

それでは、「マズルコントロール」「口の中を触る」トレーニングのやり方を解説します。

マズルコントロール

STEP
リラックスポジションの姿勢からスタート

太ももの間に愛犬の体を優しく挟み込むようにしてください。

STEP
手を筒状にする

右手でも左手でもどちらでも大丈夫です。

大型犬の場合は両手で作る方が良いかもしれません。 

その場合は、愛犬をリラックスポジョションの姿勢にする係と、マズルコントロールを行う係といった具合に2人で行ってみてください。

短頭種(パグなど)の場合は筒状ではなくつまむようなイメージで行ってみてください。

STEP
愛犬のマズルにはめる

優しく包み込むようにマズルをはめてください。

愛犬の体が動きそうなら挟んでいる太ももをキュッと締めて起き上がれないようにしてください。

STEP
上下左右に動かす

くれぐれも優しくゆっくりと可動範囲内で動かしてください。

抵抗が強くなったり興奮してきた場合は①の姿勢に戻り、落ち着いたら再開してください。

慣れてきたら、右回り、左回りなどもしてみてください。

毎日続けて、抵抗することなく落ち着いた状態で受け入れるまで行ってください。

耳のお手入れ(ケア)もしよう

左耳の場合は、右腕でマズルを抑え、左手で耳を開いてチェックし必要であればケアしてあげてください。

右耳はその逆となります。

口の中を触る

このトレーニングは子犬かつ甘噛み程度の愛犬を対象としています。成犬の場合で、特に本気噛みをされたことがある方など決して無理をしないでください。まずは、本気噛みの矯正などドッグトレーナーさんに相談してください。

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STEP
人差し指を立てる

人差し指の腹を使用します。

STEP
人差し指を口の外側に入れる

右手人差し指は口の左側、左手は口の右側に入れてください。

お子さんがされる場合は必ず親が近くにいてサポートしてあげてください。(噛まれる可能性がある場合はすぐに代わってあげてください。)

噛もうとしてきた場合、親指をクロスして顎下に入れ優しく上にあげてください。

STEP
指の腹で外側の歯や歯茎を優しく撫でる

爪を立てたり、擦ったりしないでください。

手前から奥に何度か前後させてください。(結構奥行きがあります。)

外側の左右ともに受け入れたら、口を開けたりして内側にも手を入れて同じように撫でてみてください。

舐めてはくるけど、噛んでこなかったら相当受け入れたことになります。

これを何度か繰り返し、慣れてきたタイミングで歯ブラシなども使用してみてください。

ご褒美は必要?

私は愛犬の命を守るためのトレーニングにおやつは不要と考えています。

おやつ(異物が入っている)を取り出す可能性もあるのに、おやつをあげるって変ですよね。

それにリラックスポジションの姿勢で各動作をしながら、グッドタイミングでご褒美も与えるってなかなか高度なテクニックです。

ぜひ、ご褒美の代わりにたっぷり褒めてあげてください。

それだけで十分良くなります。

注意点

  • 吠えるのをやめさせるためにマズルを抑えるのはNG
    • 効果が期待できないケースが多いですし、飼い主も興奮していることが多く、強くマズルを掴み愛犬が怪我をする可能性もあります。
    • 同様に、粗相やイタズラをしたからその罰に行うというのもやめてください。
  • 成犬や保護犬には慎重に行う
    • 特に本気噛みしてくるような場合はその矯正が先となります。ドッグトレーナーに相談してください。
    • 保護犬も保護されるまでの環境などスタッフと相談の上判断してください。
  • 根気よく行う
    • 犬種や個体によっては過度のスキンシップが苦手な場合もありますが、ゆっくりと時間をかけてで構いませんので根気よく取り組んでみてください。
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まとめ

飼い主の太ももの上や間で安心して腹を出している姿や、どこを触っても、爪を切っても、歯磨きをしても嫌がらず「なすがまま」に受け入れてくれるうちの子の姿に嬉しく、一層愛おしく感じると思います。

同時に、「この子を守るのは自分だ」という責任感も芽生えるはずです。

「命を守る」ことに妥協はありません。

トレーニング中、愛犬はストレスを感じるかもしれません。

ですが、私たち人間社会と同様全くストレスのない生活はありえません。

しっかりと母犬から引き継ぎ、集団社会で生きるためのルールを教えてあげることが本当の愛情だと私は考えます。

そして、その先にある愛犬と楽しいドッグライフを過ごすためにもご家族全員でリラックスポジション初級、中級、上級をマスターできるよう頑張ってください!

リラックスポジョションのやり方動画をご用意しています。ぜひご覧ください。初級編・中級編・上級編のマズルコントロールまでの解説動画です。

上級編、「口の中を触る」解説動画です。

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