ドッグトレーニングの入門編とも言うべき「おすわり」。
犬も比較的容易に行える動作ではありますが中途半端に教えると、以降高度なトレーニングを行っていく上で負の影響が出てしまいます。
しっかりと理解し進めていく必要があります。
キーワードは「タイミング」。
その理由を今から解説していきます。
おすわりは「まて」の発展版
「まて」には大きく3種類あります。
- 立ったまま「まて」
- すわった「まて」いわゆる「おすわり」
- ふせた「まて」
基本、私は「まて」ができていればどのスタイルでも問題ないと考えています。
この動作の本質は「落ち着き、自制心を持ち続けられるか」であって、綺麗な「おすわり」や「ふせ」ができていることではありません。
おすわりは飼い主が「タイミング」を覚えるのに最適
ですが、おすわりを覚えさせるのも、飼い主にとって「指示をするタイミング」を理解する上で意義はあります。
これは犬とのコミュニケーションを円滑に図り、信頼関係を築く上でも非常に重要となります。
なぜなら、指示は的確なタイミングで出さなければ、愛犬が間違った解釈をしてしまうからです。
飼い主は「何で言うこと聞いてくれないの?」と思っていたとしても、愛犬からすれば「何を求められているかわからない」「求めているのはこの(異なる)動作でしょ?」といった具合に・・・。
ましてや「まて」は「止まる」という1動作のみですが、「おすわり」は「まて」+「すわる」の2動作を求めることになり少し複雑になります。
その求める動作が増えれば増えるほど、タイミングが難しくなってきます。
最初からつまづかないようにしっかり「おすわり」からしっかりマスターしていきましょう。
「おすわり」の教え方
トレーニングはご飯の時が最適です。
まずは「まて」から覚えさせてください。
下記記事をご確認ください。
ご飯をあげるとき、どんな姿勢でも「まて」ができたらこれまでは与えていましたが、今度はそれに「おすわり」をプラスします。
「まて」をしても与えず、愛犬にしばらく考えさせてみてください。
「今までこれ(まて)でもらえたのに、今日は何でもらえないんだろう?」
っと思いながら色々な動作を試してくるかと思います。
その一連のなかで、たまたまおすわりの姿勢を行ったタイミングで「おすわり」と言ってください。
なお、ワードを毎度変えなければ、「sit」でも「すわれ」でも言いやすい言葉で構いません。
「おすわり」のあとに「まて」といいその状態を維持しているようであれば「よし」と言って与えてください。
下記動画も参照してください。
「指示」と求めている「動作」を一致させる
大切なことは、その指示を愛犬がしっかりと理解するまで「動作」と一致させる必要があると言うことです。
例えば、立ってたり、動いているときに「おすわり」と指示を出したとします。
まだ、その意味をわかりきれていない場合、愛犬は「立っている」「動いている」状態を「おすわり」だと認識する可能性があります。
「次にしてもらいたい行動の指示を今だすよ」といきなり教えてもできません。
まずは、まさに望んでいる体勢になっているときに、覚えてほしい言葉やジェスチャーをタイミングよくだすことが重要です。
できる限り失敗をさせない
それらを何度か繰り返し行った後に、一度立ったままや動いた状態で「おすわり」と指示を出してみてください。
「おすわり」をしたのなら大成功です。
もし、まだ理解しきれていないようであれば、改めて「おすわり」をしたタイミングで指示を出してください。
トレーニングを行う上で肝要なのは「失敗を極力させない」ことです。
逆に言えば「成功体験を積み重ねる」と言うことになります。
先を急げば急ぐほど中途半端となり、飼い主が求めることと、愛犬が理解する間に大きな乖離が生じます。
飼い主は「おすわり」=「おすわり」以外の選択肢はないと当然のように思っています
ですが、愛犬からすれば覚えきれていないなかで「立っている状態、お尻が浮いている状態、少し動いている状態」など、その時々で指示するタイミングが異なれば「おすわり」の選択肢が増えてしまうことになります。
できる限り「答えは一つ」になるよう精度を高めて言ってあげなければいけません。
トレーニングは「急がば回れ」です。
確実に正確にステップアップしていくようにしましょう。
最後まで完結させることが大切
よくあるのが「おすわり」と指示を出し座らせるまでは良いのですが、愛犬が勝手に解除しているのを見逃しているケースです。
「指示を出し行動に移させるのは飼い主で、解除する決定権を持っているのは愛犬」では片手落ちです。
必ず解除まで飼い主がコントロールする必要があります。
ご飯を与えるときで言えば、おすわりをしている愛犬の前に容器を置き「よし」や「いいよ」と言うまで食べさせないようにしなければいけません。
言ってないのに自ら食べようとしたのなら「おすわり」を改めてさせましょう。
中途半端な状態を積み重ねれば、愛犬は飼い主の言うことを「適当」に聞き従うことになります。
私はしつけやトレーニングは「愛犬の命を守る」ことが目的だと思っています。
「飼い主の言うことをある程度まで聞けばいい」といった関係性を強化すれば、いざと言うとき(極めて命を落とす危険が高い状態など)に助けることができません。
「最後までさせる」ことを徹底させてください。
様々なシチュエーションで試してみる
「おすわり」の目的が理解できるようになれば、今度は様々なシチュエーションで行ってみてください。
「カラーやリードをつけるとき、玄関から外に出るとき、信号待ちのとき、ドッグランで遊ぶとき」などなど。
いずれのシーンでも「確実に最後まで」です。
うまくできなかったとしても「まっ、いいか」と許容しないように注意してください。
頭で考えさせよう
おすわりの姿勢を強制的にさせてから「おすわり」と言い覚えさせる方法もありますが、私は愛犬に頭を使って「考えさせる」ことを好みます。
「飼い主が何を求めているのか」
立ってみたり、吠えてみたり、うろうろしてみたり、「おて」をしてみたり…。
いろいろ考えた末、愛犬がすわってみたタイミングで「おすわり(心の中では正解!)」と言ってあげる。
飼い主側も根気が求められますが、それらの行為も愛犬とのコミュニケーションを深め、信頼関係を築く上で必要だと考えています。
繰り返し行っているうちに、ご飯の準備を始めたら愛犬が先回りをして「おすわり」をした状態で「まて」をしてくると思います。
私はそのような姿を見ると、成長を感じ嬉しくなります。
なお、準備をしていないのに「催促」してくる場合は別の意味となります。
詳しくは下記記事をご覧ください。
まとめ
「シンプルに的確に」
これは「おすわり」以外のトレーニングでも共通して言えることです。
しつけに悩んでいる方の多くは「複雑で曖昧」な指示を出していることが原因だったりします。
シンプルに行うにはタイミングが重要となります。
新たなことを教える際には「まさにその動作をしている瞬間」に、「覚えさせたいコマンドやハンドサインを出す」と言うことを頭に入れて取り組んで見てください。