ドッグブリーダーとは?経験をもとに解説。子犬探し中の方必読です!

まだまだ半数以上の人はペットショップから子犬を購入していますが、ブリーダーからも年々増加しています。

犬は「ペットショップで購入した」(54.0%)

楽天インサイト株式会社 2018年調査

ただ、「犬を繁殖している生産者=ブリーダー」だと認識している方も多いのではないでしょうか。

実際、誤認識からくるトラブルも増えています。

そこで、今回は何百というドッグブリーダー(繁殖者)とお会いしてきた経験から、タイプを大きく5つに分けて違いを解説します。

ぜひ、それらを理解した上で自分に合った子犬探しをしてみてください。

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目次

ドッグブリーダーのタイプ

ドッグブリーダーと言っても実は細分化されています。

環境省が平成13年に行ったヒアリング調査では下記6パターンに分けられています。

  • 専業繁殖者
  • ブリーダー
  • ペットショップ経営兼繁殖者
  • 趣味的繁殖者
  • 一般購入繁殖者

古い調査結果ではありますが、現在もおおむね分け方に違いはないかと思われます。

従って、この分類に応じて解説していきます。

なお、私が実際にこの目で見てきた経験に基づいて説明していますが、立場によって見解は異なるかもしれません。

ご理解ください。

専業繁殖者

多品種、多頭数、牧場での大規模繁殖。全生産業者のなかでの割合は40〜50%。(平成13年当時)

環境省「平成13年度 犬・猫の調査結果」

私がこの業界に入った25年前はこの形態の業者が多く存在しました。

ですが、度重なる法改正により大規模繁殖の経営ハードルは上がり今では減少傾向にあると思われます。

特に、令和2年6月1日に施行された「動物の愛護及び管理に関する法律」では飼養施設の管理や設備の構造及び規模、従事する員数(スタッフ)などに大きな制約が課されるようになりましたのでますます困難な状況に置かれていると推測されます。

さらに、令和4年6月1日より生体販売時のマイクロチップ装着、登録義務化が施行されたのでこれを機に廃業を選択する業者も多いかと思われます。

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正直、当時(25年前)の大規模繁殖業者の印象は私もよくありませんでした。

ある繁殖業者の掲載審査をしに所在地に向かっていたのですが、犬舎の500m先あたりから鼻をつくニオイが漂いはじめ、その悪臭は近づくほど強烈になり引き返したい気持ちを抑えながら代表者とお会いしました。

そこは夫婦で営んでいたのですが、1つのケージに2頭ずつ、見えるだけで100頭以上が詰め込まれ積み重ねているので、上の子の排泄物が下のケージに垂れ流されている状態でした。

繁殖に対するこだわりを伺うと特になく、運動場と呼ばれる3畳ほどのスペースにオス・メスを放し無監視交配をさせているため、妊娠しても父犬が誰かわからないと代表者は言ってました。

ワンコたちの鳴き声も止むことなく、隣にいた奥さんは終始無言で疲労感を漂わせていた姿が今も印象に残っています。(無論、審査は通しませんでした。)

残念なことではありますが、その時代には同様の業者も全国に一定数存在していたと思われます。

まさに「多品種・多頭種」。

ほぼ全頭がセリに出され、ときにはタダ同然で出荷するので基本薄利多売ビジネス。

さらに、ブーム犬種を仕入れ繁殖し頭数を増やすという悪循環に陥り最後はキャパオーバーして夜逃げをするといった話もよく聞きました。

法改正によって、そのような業者が淘汰されることは歓迎すべきことです。

もちろん、大規模ながら人員も十分に確保ししっかりとした管理体制のもと繁殖をされている業者も存在します。

ですが、今後間違いなくコストも上昇するでしょうから維持するのは困難になる可能性が高いと思われます。

いずれにせよ「大規模繁殖」は難しい時代だと言えます。

ブリーダー

一犬種及び少犬種の繁殖、多頭数生産のケースが多い。全生産業者のなかでの割合は10〜20%。(平成13年当時)

環境省「平成13年度 犬・猫の調査結果」

生体売買で生計を立てているいわゆる「専業ブリーダー」です。

ドッグショーに出陳しチャンピオン犬を作出することに情熱を燃やしている方や、ショーには出さずとも自身の理想とする犬を作り上げようとしている方が多くいらっしゃいます。

基本、上記専業繁殖者に比べてより特定の犬種に惚れ込んでブリーディングを行なっており、遺伝学や生理学、行動学などあらゆる知識を豊富に持ち合わせています。

私も何人かのブリーダーに感銘を受け多くのことを学ばせてもらいましたが、そのこだわりは半端なく奥の深さを感じることができました。

また、内容は一般の愛犬家も多いに役に立つ話しばかりですので、そのブリーダーを講師にお招きして講習会の実施も行なっていました。

「1犬種だけでも相当に勉強と経験が必要なので複数犬種を扱うことはできない。」と尊敬するブリーダーの皆さんは一様におっしゃいます。

私も「その通りだ」と実感しています。

逆に言えば、その犬種がとことん好きだからこそできる仕事だとも言えます。

自宅兼犬舎の方も多いですが、別に構えていたり、トリミングサロンを併設されていたりと様々です。

最終購入者(飼い主)に直接販売する方が多いですが、人気があるブリーダーさんだと予約して何年も待つこともあります。

私は、理想の迎え方は衝動買いではなく、予約をして待っている間迎える準備をし、ブリーダーからその犬種のことを学ぶことだと考えています。

ぜひ、子犬を探されている方はそう言った選択肢もあるということを引き出しに入れてみてください。

もちろん、ブリーダーにも様々な方がいてトラブルも発生しています。

見極め方については改めて別の機会にご紹介します。

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ペットショップ経営兼繁殖者

多品種、多頭種。全生産業者のなかでの割合は10%〜20%。(平成13年当時)

環境省「平成13年度 犬・猫の調査結果」

通常のペットショップがブリーダーやセリを通して子犬を仕入れるのに対し、このタイプは繁殖者あるいはブリーダーが直接経営しています。

また、上記専業繁殖者やブリーダーも直接一般の方に販売していますが、異なる点として別の専業繁殖者やブリーダーなどからも仕入れた子犬を売っていたりします。

店舗があるのでフラッと立ち寄りやすいかもしれません。(専業繁殖者は犬舎にくることがNGだったり、ブリーダーは事前予約が必要だったりします。)

用品も揃えていますので、子犬を初めて飼われる方はサークルやケージ、トイレトレーなど一式を買い揃えやすいとも言えます。

基本、誠実に取り組んでいる店舗が多いですが、なかには仕入れた子犬を自家繁殖だと偽って販売している店舗もあります。

私も何度かその疑いのある店舗に審査へ行きましたが、「母犬や犬舎を見せて欲しい」と言うと「別の場所にあるからすぐにはいけない」とはぐらかされたりしました。

ブリーダーは母犬の体調面や、衛生面に不安がない限り母犬を見せてくれることが多いです。(それがブリーダーから犬を購入する大きなメリットだったりします。)

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「自家繁殖」前提で店頭に出しているのであれば「母犬を見せてもらうことは可能でしょうか?」と聞いてみてください。(父犬は別の犬舎であることが多いです。)

上記のような理由で直接会うことはできなかったとしても写真や動画をすぐに見せてくれるかチェックしてみてください。

趣味的繁殖者

一犬種及び少犬種の繁殖。少頭数から多頭数まで。全生産業者のなかでの割合は10%〜20%。(平成13年当時)

環境省「平成13年度 犬・猫の調査結果」

いわゆる「兼業ブリーダー」または「副業ブリーダー」と呼ばれる人たちです。

別の職業についていて、自宅で飼養している方がほとんどなので一犬種、小頭数の方が多いのが特徴です。

それゆえ出産回数も少なく購入希望者は何年も待って入手したりします。

また、ブリーダーと同様、その犬種に惚れ込んでいるのでこだわりが強く、なかには採算度外視でブリーディングをされる方もいます。

当然、飼い主希望者に対する条件も厳しく、欲しいからと言って譲ってくれないこともあります。

私がお会いした方では、環境面、経済面、食事面などあらゆるハードルが高く「その条件に適した飼い主は存在するのかな?」と思ったこともありました。

「今すぐ子犬が欲しい」方ではなく、「何年待ってもいいからここの子が欲しい、そのための条件も整える」と言う方が向いていると私は考えます。

一般購入繁殖者

一犬種及び少犬種の繁殖、少頭数繁殖のケースが多い。全生産業者のなかでの割合は(趣味的繁殖者と合わせて)10%〜20%。(平成13年当時)

環境省「平成13年度 犬・猫の調査結果」

「愛犬の子供が欲しい」といった思いから繁殖される方で、上記タイプの人たちも最初はここからスタートだった方も多いと思われます。

もう一つは、ペットショップやブリーダーから進められたケースです。

実際、始めたきっかけがペットショップから「繁殖したら引き取るよ」と言われたからという方に何人もお会いしました。

犬好きだけど繁殖知識がないため、交配に向かない愛犬に無理やり子供を産ませ、その結果遺伝性疾患や障害を抱えた子犬が生まれれくるといったこともよくあります。

そのような苦い経験からしっかり学びブリーダーとして本格的に活動される方と、ひたすら無知のまま繁殖し飼育頭数をひたすら増やしていく方に別れたりもします。

最近では、繁殖に向かない犬は避妊・去勢が前提であったり、「勝手に交配をしない」と契約書に表記するブリーダーやペットショップも増えて来ました。

さらに、法改正により生体販売のハードルも上がっていますので、一般購入者が繁殖をすることは困難になっているかと思われます。

これは歓迎すべきことだと私は考えます。

まとめ

現在、日本では明確なブリーダーの定義はなく、法律上は「販売」と一括りにされてしまいます。

上記5つのタイプも線引きは曖昧で一般の方が見極めるのが難しかったりもします。

製品はどのお店で購入してもある程度の品質は保証されていますが生き物である犬は違います。

同じ犬種でもどこで買うかによって全く異なってきます。

ブリーダーがこれだけ細分化されているように、ペットショップも様々なタイプが存在します。

これから犬を飼いたいと思われている方、あるいは多頭飼いを検討している飼い主は安易に衝動買いをせずに、できる限り調べた上で購入先を選ぶことを強くお勧めします。

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そうすることが質の低い業者(繁殖者)を淘汰させることにも繋がります。

今回お伝えしきれていないことはたくさんありますので引き続き役に立つ情報を発信していきます。

ぜひ随時チェックしてみてください!

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