【改正動物愛護法施行】犬へのマイクロチップ装着義務化は大きな前進

マイクロチップ装着義務化がスタートしました。この施行は飼い主というよりブリーダーやペットショップなど生体販売業を行なっている人たちにとって大きな意義があると私は考えます。

学生時代に立ち上げた「ブリーダー紹介サイトメインキャスト」を通して数百を超えるブリーダー、生体販売業者とお付き合いをして、悲惨な現状を見てきた経験からそう言えます。

その理由を説明します。

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目次

日本でマイクロチップが導入されたのは1997年

日本獣医師会のHPによるとマイクロチップが日本に初めて導入されたのが1997年とのこと。奇しくも私がこの業界に本格的に携わり始めた年です。

当時の固体識別は難しく、純血種に発行される血統書が唯一その証明となるものでしたがブリーダーによる申告でしたので、本当にその犬が血統書の犬なのかを確認することは極めて困難でした。ちなみに、雑種(今で言うミックス犬)は無法地帯でした。

私がこの業界に関わった当時(25年前)の現状は?

学生時代、私はパソコンの家庭教師を行っていたのですが、そのお客さまに生体の無店舗販売業者さんがいました。(この出会いこそ私がペット業界に身を置くきっかけとなりました。)

購入希望者の要望に従って全国のブリーダー(繁殖業者)から条件に合う子犬を探すのですが、業者向けにFAXで流される出産情報だけを頼りに探していました。

ちなみに、そこに記載されていた情報は、ブリーダー連絡先・犬種名・生年月日・性別・毛色・備考(「健康です」といったように一言だけ。)ぐらいです。

インターネットやデジタルカメラの普及も進んでおらず、写真を郵送してくれるブリーダー(繁殖業者)は稀です。

「写真を送ってほしい」と言っても「忙しい」「買ってくれるのなら送る」と言った具合に渋られます。

ですから、FAX情報だけを頼りに希望者に伝え購入を決めてもらう必要があります。(これはこれで問題なのですが、業界的には進歩だったりもします。また別の機会で。)

「実物を見ずに買う人はいるのか?」と思ったりしますが、驚くことにそれが結構いるのです。(まだ現物確認、対面説明の義務化が施行される前でした。)

こうして飼い主希望者が購入を決めた時点で、無店舗販売業者はそのブリーダー(繁殖業者)から対象の子犬を仕入れます。

近場ではない場合、空輸や陸送で運ばれてきます。

その流通過程で確認しているのは文字情報だけです。

ですから、送られてきた子犬が本当に該当犬なのか正確なことはわからなかったりするのです。

犬1頭に血統書が3枚?

基本、血統書は後から送られてくることが多く、なかなか届かなかった場合電話で催促したりするのですが、1頭の犬に対しなんと3枚の血統書が送られて来たことがあり、私もその実物を見させてもらいました。

無店舗販売業者のオーナーさんは直ぐに確認の連絡をしたところ「どれか好きなのを使って」っとそのブリーダー(いや、この方は明らかにやばい繁殖業者でしょう。)があっけらかんと言ってきたようです。

どれも該当犬の血統書ではない確率が高いですが確かめようがありません。

だからと言って犬を返すことは当時の商習慣では難しく、無店舗販売のオーナーはその犬を新しい飼い主に引き渡したとのことです。

「どの血統書を渡したのか?」

私は知りません。聞きたくなかったので確認を取りませんでした。

この業界の闇を垣間見たようでショックを受けました。

そして、よりこの業界を深掘りしたくなり、その延長線上で「ブリーダー紹介」事業を行うことになりました。(この経緯も改めて別の機会に詳しくお伝えできればと思っています。)

マイクロチップの導入が義務化されていま、このような業者は一層淘汰されていくでしょう。(2003年よりJKCは種牡や一部台牝などはDNA登録が必要となっています。)

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マイクロチップの義務化は悪質な繁殖・生体販売業者をなくす大きな一歩

マイクロチップ装着義務化には賛否両論があります。

「かわいそう」や「健康面は大丈夫なのか?」といった愛犬の身体面を心配する声も当然あります。

愛情を持って育て、一緒に暮らしているほとんどの飼い主からすれば装着メリットをそれほど強く感じることはないかもしれません。(迷子犬対策や遺棄防止に期待できるのは衆目の一致するところだと思いますが…。)

動物の個体識別にはあらゆる選択肢があり議論と検証を重ねてきたようです。

そして、どれも一長一短があり総合的に考えマイクロチップに至ったようです。

  • 首輪・名札
  • 入墨
  • 脚環
  • 耳標
  • 耳刻
  • DNA鑑定
  • 写真
  • マイクロチップ
マイクロチップによる動物の個体識別の概要 平成17年3月環境省

私がこの業界に関わった当初は、捨て犬の殺処分頭数よりも、子犬が生まれ新しい飼い主に迎えられるまでの間(または、迎え入れて数週間の間)に亡くなっている頭数の方が多いのではないかといった話もありました。

固体管理は全くなされていなかった時代なので実態は誰もわかりません。

ただ「十分にあり得る」というエピソードはよく耳にしました。

今後、より安価で導入しやすく、何より動物の健康面を最大限配慮した固体識別方法が生み出されるかもしれません。

ですが、どんなシステムでも足並みを揃え普及をさせなければ完全固体管理の道は開けません。

今回の義務化はその大きな一歩であることは間違いありません。

この前進が悪質な繁殖業者や生体販売業者をなくし『不幸な子犬たち』が減ることを強く願っています。

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番外編

マイクロチップはリーダーがないと確認ができません。

今も電柱に迷子犬を探すビラが貼られていたりします。

まだまだアナログ迷子札は有効です。

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