雷の音、花火(大会)、クラッカー、サイレン、自衛隊の演習場の音などなど苦手なワンコって多いですよね。
獣医師向けのアンケート調査では2〜3割の犬が雷を怖がっていると回答しています。
100名の獣医さんに伺ったところ、雷に怯える犬の割合で最も多いのが「2-3割」、続いては「1割程度」となっています。10匹に1匹から3匹の犬は雷に怯える、ということになりますね。一方で「4-5割」からそれ以上、さらに「9割以上」とお答えいただいた先生もいらっしゃることから、雷に怯える犬は意外といるのではと考えられます。
ペッツアイ
我が家の先住犬もこれらの音が大嫌いでした。
いろいろ試しましたが平気になることはありませんでした。
結論として、これらの音に敏感か否かはその子本来の性格によるものも大きく、全く怖がらない、苦手意識を克服させることは難しいかと思われます。(もちろん不可能ではありませんが・・・)
ただ、トレーニングや接し方、環境づくりを行うことで多少緩和できるかもしれません。
重要なことは愛犬との日々の暮らし方です。
今回はその方法、心構えなどについて解説します。
各シチュエーションでの準備・対処方法
雷や花火、サイレンの音などを愛犬が聞く場面として、大きく下記3つのタイプになると思います。
- 自宅にいる場合
- お留守番をさせる場合(またはお留守番中)
- お散歩中の場合
それぞれのシチュエーションに応じて解説していきます。
自宅にいる場合
事前に自宅だと窓やカーテンを閉めたり、テレビや音楽の音量をご近所迷惑にならない範囲でいつもより大きく流すなど気休め程度かもしれませんが、雷の音や光ができる限り入ってこないよう工夫をしてみてください。
あとは何より安心して隠れる(避難する)環境を用意してあげることが重要です。
ベッドの下や、お風呂、布団の中などに逃げ込むワンコもいますが、理想はクレートに入ることです。
そこが愛犬にとって安全な隠れ家であればあるほど、音が止むまで少しでも落ち着きつつ我慢することができます。
クレートがお気に入りになれば、お留守番のとき、お出かけのとき、ドッグホテルに預けるとき、動物病院で入院するときなど、不安な犬の気持ちを相当和らげることが可能となります。
ぜひ、普段よりクレートトレーニングを行なってみてください。
お留守番をさせる場合(またはお留守番中)
ワンコはパニックになると予期にしない行動に出ることがあります。
以前、しつけ方教室にご参加されたラブラドールの飼い主より、雷の音に過剰反応し窓に突進してガラスを割り脱走を試み、血だらけになったという痛ましい話を聞いたことがあります。
再々にも、自宅にご家族がいたので何とか制止して最悪の事態を免れたようですが、留守中だと思うと恐怖です。
音に敏感なワンコは、部屋の中をフリーな状態ではなく、できる限りクレートで、少なくともケージ、天板付きのサークルでお留守番をさせるようにしましょう。
先ほども述べましたが「クレート=安心・安全な場所」にすることが大切です。
お散歩中の場合
お散歩行く前に雷雨が予想される場合は行くのを控えましょう。
外でしか排泄をしない場合は家の庭や周辺で済ませてください。
散歩中に予測される場合は速やかに自宅や車に戻りましょう。
昔、音が大嫌いな先住犬と公園で散歩をしていたとき、急に立ち止まり怯え、震え始め、呼吸も荒くなってその場にへたり込みました。
その後に「ゴロゴロ〜」と遠くから聞こえてきました。
その敏感さに感心しながらも既に腰が抜けている状態で動きそうにありません。
仕方なく、13キロほどあったうちの子を抱っこして駐車場まで急いで戻りました。
結構遠かったので、到着したときはヘトヘトでした。
しっかりと予報をチェックして散歩に出る必要があると痛感しました。
「散歩に行くのを止める」「早々に切り上げる」判断力が求められています。
脱走を防止するには
「雷」「花火」「サイレン」などの音に反応し、恐怖心から混乱、予期せぬ行動をとられリードを放してしまったり、首輪やハーネスから抜けてしまうことによる脱走事故も多く発生しています。
またまた私の先住犬の話ですが、うちの子と一緒に初めての花火大会に行ったときのことです。
一発目の花火が上がったと同時にスイッチが入り、震え、怯え後退りしながら首輪から抜けて一目散に人混みの中を走り去っていきました。
リードについた愛犬のいない首輪を見た瞬間、鳥肌が立ち愛犬の名前を叫びながら必死に追いかけました。
ですが、どこに行っても見つからず最悪の事態が頭をよぎりました。
愛犬にとって初めての場所で土地勘は一切ありません。
どの方面を探せばいいのか悩んでいたとき、ふと「駐車場は?」と思い至り急いで向かいました。
そして、私の車が見え始めたとき、その下に白い塊が確認できました。
いつも乗り込むドアの下でうずくまって震えていました。
安堵の気持ちと「怖かったね、連れてきてごめんね。」という感情が入り乱れながら一緒に車に乗り込みました。
初めての場所で、しかも夜、駐車場から結構離れていたにも関わらず人混みの下を走り、止めてある何百台のなかから家族の車を探し当てるってすごいと後日思ったりしてました。(運よく何事もなかったから思えることで、周りにも迷惑をかけてしまいましたが・・・)
それに、愛犬にとって車の中が怖いときに身を隠したいと思える安全な場所だと思ってくれていることも嬉しかったです。
当時はベルト型の首輪をしていたのですが、いざとなれば簡単に抜けることができることを思い知りました。
それから、ハーフチョークカラー(脱走防止に適している)に代え、しっかりとリードコントロールを学ぶきっかけとなりました。
ハーネスも脱走しやすいタイプもあるので注意が必要です。
ワンコは一度抜け方を覚えると忘れず、非常時にそのことを実践してきます。
普段は呼び戻しがバッチリできていたとしても(先住犬はそうでした。)、愛犬がパニックとなり我を忘れるような事態になればいくら呼んでも帰ってきません。
私はそれを身をもって体験しました。
昨今、デザインを重視したリードやカラーが増えてきていますが、それらの役割は元来「愛犬の命を守るため」のものです。
ぜひ、機能性を第一に考え商品選びをしてください。
「ハーフチョークカラーにショルダーリード、常にリードを上にあげれるよう短めに持つ。」
私はそれが非常時にも対応できるベストな選択だと思っています。
さらに重要なことは、日頃から脱走を試みようとする我が子をイメージしリードの使い方を学ぶことです。
その積み重ねがいざというとき冷静に対処ができるようになっているはずです。
下記記事ではおすすめのリードやカラー、散歩中の「落ち着かせ方」などを解説しています。
ぜひご一読ください。
NGなこと
日常的に愛犬に対し過剰な反応は控えるようにしてください。
例えば、何か嫌なことがあって震えたり、怯えているとき、クンクン、キャンキャン泣いているときに「大丈夫、ごめんね」とか言って抱きかかえ撫でたりする行為です。
それらを繰り返すことで「怖がれば構ってもらえる」という条件付けを強化する可能性があります。
飼い主に爪を切ってもらう際にこの世の終わりのような鳴き声で抵抗するワンコがいたりしますが、そういった子もトリマーさんの前だと大人しくサクサク切られていたりします。
もし、愛犬がそうなら、飼い主の前で「ビビればやめてもらえる」と理解しておりその行為は「演技」かもしれません。
特に小型犬に多く、少しでも震えれば盲目的に「ごめん」とか言い、ガラス細工でも触るように愛犬と接していたりします。
無意識に強化を続けることで、いざ雷など本当に怖いことが起こった際に「震えれば、ビビればなくなる」と考え、過剰に反応するケースだってあります。
ですが、現実はそうなりません。
結果、苦しむのは愛犬です。
大切なことは日頃から冷静に観察し、うちの子のパフォーマンスが過ぎる場合は受け流す(無視する)ことも必要です。
実際、雷の音が聞こえたときもできる限りいつもの生活を変わらないよう振る舞ってください。
雷恐怖症の場合は動物病院に相談しよう
「よだれを垂らす」「息遣いが過度に荒くなる」「失禁や嘔吐をする」「下痢や血便が出る」「けいれんや失神をする」
などの症状が強く出た場合は、獣医行動診療科認定医などがいる動物病院で診断を受けてみてください。
獣医動物行動学(動物行動学および臨床行動学)に精通し,行動診療を行うために必要な専門知識と技術,十分な診療経験を有しており,獣医行動学分野における最新知識の取得に務め,行動診療を通して動物と飼い主の幸福増進に貢献するとともに,獣医動物行動学分野の発展に寄与し,わが国における同分野の啓発と普及に貢献するための努力を惜しまない獣医師
日本獣医動物行動研究会HPより
レスキューレメディを試してみるのもあり
レスキューレメディはバッチフラワーレメディの一つであり、過度な緊張を緩和の方向に導いてくれます。
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穏やかな気持ちのバランスを取り戻す手助けをしてくれるというものです。植物のエネルギーを活用するため、アロマテラピーのようにニオイを楽しむものではありません。
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病院、落雷、お留守番、他の犬…。不安がるパートナーのために「なにかしてあげたい」と思ったら。
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まとめ
雷や花火の音などを完全に克服するのはかなり困難だと、我が家の愛犬との経験も踏まえても実感しています。
それが先天的なものなのか、トラウマによるものなのか、日々の接し方が原因なのかなどを突き止め、根気よくトレーニングを行うのは相当な労力が必要となります。
そこを目指すのではなく、ちょっとでも「緩和」させた上で嵐が去るのを待てる子にしてあげる方が現実的だと考えます。
少なくとも「怯える、震える、ビビる」などの行動を強化させてはいけません。
そして、安心できる場所を確保し、散歩時などは非常時に対応できるリード、カラーを用意し使い方などを日頃から練習してみてください。
「非常時の対応は平常時の備えから」です。
頑張ってみてください。