犬との暮らしに完璧はいらない。命を守るしつけだけ、本気でやろう。

ドッグトレーナーとして、さまざまな飼い主さんと向き合う中で感じるのは、「完璧な犬」「完璧なしつけ」を目指すあまり、苦しくなっている方がとても多いということ。

でも、本当に大切なのは、命を守るためのしつけをきちんと伝えること。
それ以外は、犬の個性と折り合いをつけながら、豊かに暮らすことでいいのです。

この記事では、私自身の経験と愛犬との日々を通して、『完璧じゃないからこそ幸せになれる犬との暮らし』についてお話しします。


目次

完璧を目指して、疲れていませんか?

犬と暮らし始めると、最初は「ちゃんと育てなきゃ」と思うものです。
本やSNSで語られる“理想のしつけ”“完璧な飼い主像”に影響され、気がつけば、自分と愛犬に「こうあるべき」という理想論でガチガチになっている方も多いかと思います。

でも考えてみてください。
「自分は完璧な人間じゃないのに、なぜ犬にはそれを求めるんだろう?」

と。


完璧を求めると、苦しくなる

犬は生き物です。体調や気分だって日によって違います。
それなのに全てにおいて完璧を目指していたら、お互いに息が詰まってしまいます。

ちなみに、私が飼っている2頭の犬はトイレトレーで排泄ができないことも多く、またそれを受け入れています。当然、プロなので方法論は知っていますが、そのために割く労力を考えると「まっ、いっか」となっています。

むしろ、廊下などで犬がおしっこをした場合、その場所を消毒液を使いながら拭くため、ある意味清潔に保たれていると言えるかもしれません。(笑)

それぐらい前向きに考えた方が楽です。

トイレトレーニングの方法はこちら


犬の行動を変えるには、時間と労力がかかる

しつけや矯正には、地道さと一貫性が求められます。
でもその前に、自分に問いかけてほしいことがあります。

「そこまでしてさせたい行動なのか?」

オテやオカワリができなくても、困ることはありません。
オスワリができなくても、立ったまま「マテ」ができればそれで十分です。
しつけは“できるかできないか”ではなく、“必要かどうか”で考えればいいんです。


本気でやるのは、「命を守るしつけ」だけでいい

私が必須だと考えているしつけは、次の3つです。

  1. マテ(飛び出し・衝動行動の防止)
  1. 呼び戻し(おいで)(命の危険回避)
  1. どこを触っても嫌がらないこと(緊急時・医療ケアに対応するため)

この3つは、愛犬の命を守る“しつけ”というより“命綱”です。
だからここだけは、本気で、優しく、根気強く教えています。

それ以外は――正直、「まっ、いっか」でいいと思っています。
暮らしやすくなることが目的であって、評価されるための完璧さはいらないのです。


神経質な飼い主のもとで、犬も神経質になる

犬は人の心の変化にとても敏感です。
飼い主がいつも「また失敗したらどうしよう」「吠えないで!」と緊張していると、犬にもその空気が伝わってしまいます。

反対に、飼い主が深呼吸して「まっ、いっか」と笑っていると、犬もゆったりと落ち着いて過ごせるようになります。

結局、信頼は、飼い主の心の余裕から始まるのです。


完璧を求めるなら、ロボット犬でもいい

もし「完璧に動く存在」がほしいなら、ロボット犬やバーチャルペットのほうが合っているかもしれません。
でも私たちが犬と暮らしたいと思ったのは、不完全で、生きていて、喜びや寂しさを持っている存在だからではないでしょうか。

思い通りにいかない日もある。
でもだからこそ、犬との暮らしは味わい深く、あたたかくなるのだと思います。


長所を見てあげる暮らし方

「また失敗した」「またできなかった」
そんなふうに短所ばかりが気になってしまう時期もあります。

でも、ぜひその子の「できていること」や「その子らしさ」にも目を向けてあげてください。

  • トイレは苦手だけど、家族の顔を見ると全力で尻尾を振る
  • オテはできないけど、いつも隣に寄り添ってくれる
  • 吠えやすいけど、人の気持ちには敏感で優しい

「できないこと」を数えるより、「この子の良さ」を見つける毎日のほうが、
犬も飼い主も、ずっと幸せに生きられると思います。

吠える行為を飼い主が助長させてしまっているケースもあります。


観察し、学び、判断する力を持つこと

しつけ教室でよく聞くのが、「うちの子はこうだから…」という飼い主の自己解釈。
けれど実際には、それが間違っていたり、真逆のことだったりするケースも多いのです。

犬の行動は、すべて“理由”があります。
擬人化せずに観察し、犬の行動学を学び、なぜその行動をとっているのかを知ること。
そのうえで、本当にその行動を矯正する必要があるのかどうかを考えることが大切です。


私たちは、幸せになるために犬と暮らしている

私たちは、ノイローゼになるために犬を迎えたのではありません。
不幸になるために一緒に暮らし始めたのでもありません。

犬と一緒に、もっと笑いたくて、もっとあたたかく生きたくて――
豊かで幸せな暮らしをしたいと思ったから、犬を迎えたのです。

完璧じゃなくても、怒ってしまっても、それでも犬は今日も、あなたのそばにいます。

どうか今日も、うちの子と「なんでもない一日」を楽しんでください。

「飼い主が楽しいと犬も楽しい」、「飼い主が幸せだと犬も幸せ」だと私は思っています。

呼び戻し、マテ、どこを触られても嫌がらない子にする方法をお教えします。

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