犬は犬であって人ではない|カーミングシグナルから学ぶ信頼関係の築き方

犬は人間のように言葉を話すことはできません。しかし、彼らは日々の生活の中で、表情や姿勢、しぐさを使って私たちに多くのメッセージを送っています。
ノルウェーの世界的ドッグトレーナー、トゥーリッド・ルーガスが提唱した「カーミングシグナル」は、その犬語を理解するための大切な鍵です。

本記事では、ルーガスの功績とカーミングシグナルの意味、そして飼い主がどのように活かせば信頼関係を築けるのかを詳しく解説します。


目次

トゥーリッド・ルーガスとは

  • ノルウェー出身のドッグトレーナー。
  • 40年以上にわたり犬の行動学を研究。
  • 著書『カーミングシグナル』は世界中で翻訳され、犬と人の関係に革命をもたらした。
  • 犬を「従わせる対象」から「理解すべきパートナー」へと位置づけ直した功績が評価され、ノルウェー国王から勲章も授与されている。

カーミングシグナルとは?

カーミングシグナルとは、犬が自分や相手を落ち着かせるために示す約30種類のボディランゲージのことです。

主な例

  • あくび:緊張やストレスを感じている。
カーミングシグナル
  • 舌なめずり:不安を和らげようとしている。
カーミングシグナル
  • 顔をそむける:敵意がないことを伝える。
カーミングシグナル
  • 地面を嗅ぐ:その場をやり過ごしたい。
カーミングシグナル
  • プレイバウ(遊びのお辞儀):相手との関係を和ませる。
カーミングシグナル
  • 体をぶるぶる振る:気持ちを切り替える。
カーミングシグナル

これらは一見すると単なる日常動作ですが、文脈を理解すれば犬が「いまどんな気持ちか」を正しく読み取ることができます。


擬人化の落とし穴

犬を人のように思うリスク

犬を大切に思うあまり「わざとイタズラしている」「反抗している」と考えてしまう飼い主は少なくありません。
しかし実際には犬はストレスを感じてカーミングシグナルを出しているだけで、それを無視すると犬はますます不安になります。

擬人化は楽しみ方にもなるが…

  • 理解したうえで楽しむ擬人化:ユーモラスに「ふて寝してるみたい」と表現するのはOK。
  • 誤解したままの擬人化:本当に人間のように思い込むと、犬のシグナルを見逃し、双方にストレスを生む。

今まで多くの飼い主さんとしつけ教室やドッグイベントを通し交流してきましたが、擬人化したうちの子の心情を信じて疑わない方は多くいました。


飼い主にできること

犬語を学ぶ

  • 散歩中、犬が顔をそむけるのは「争いたくない」というサイン。
  • 叱っている最中のあくびは「もうやめて」というお願い。
    これらを理解すれば、犬は「自分の気持ちが伝わっている」と安心します。
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人間もカーミングシグナルを使う

  • 飼い主がゆっくりまばたきをする。
  • 視線を外す。
    こうした動作を意識的に行うことで、犬に「大丈夫、安心して」と伝えることができます。
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子どもへの教育にも

研究では、幼い子どもは犬のシグナルを理解できず、咬傷事故につながることがあると指摘されています。
家庭や学校で「犬が嫌がっているサイン」を教えることは、犬と人双方の安全に直結します。

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書籍紹介:『カーミングシグナル』

  • 著者:トゥーリッド・ルーガス
  • 内容:犬の仕草を写真とともに解説した「犬語辞典」
  • 評価:世界中のトレーナーや獣医が推奨する必読書

コンパクトながら繰り返し読み返す価値があり、まさに「犬との暮らしのバイブル」として定評があります。

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まとめ:犬は犬であって人ではない

飼い主が理解すべきなのは、犬は人ではなく犬だという当たり前の事実です。
人間の言葉を押し付けるのではなく、犬の言葉(カーミングシグナル)を学びましょう。

そうすれば犬は「飼い主は自分のことをわかってくれている」と安心し、信頼関係が揺るぎないものになります。
これは、愛犬と共に暮らすすべての人にとってかけがえのない財産となるはずです。

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