「PTAって必要なんですか?」 「忙しいし、やってられない…退会したい」
そんな声が増えている今、PTAに対する疑問や不満を抱える保護者が急増しています。 たしかにPTAは任意加入ですし、未入会・退会すること自体に法的な問題はありません。 ですが――
ちょっと待ってください。 入らない・辞める前に、“もしかしたら損するかもしれないこと”や“変えられる可能性”を考えてみませんか?
この記事では、小学校でPTA会長を務めた経験をもとに、退会を考える前に知っておいてほしい視点と、関わるからこそ見える価値についてお伝えします。
PTAは本当に“必要ない組織”なのか?

PTAというと「意味のない活動」と感じる方も多いかもしれません。でも本来の目的は、
- 子どもたちの安全(登下校見守り・校内整備)
- 教育環境の支援(行事運営・備品購入)
- 家庭と学校の橋渡し
など、子どものための組織です。
もちろん、古い体質や非効率な運営にモヤモヤするのは正当な感情。 でも一方で、関わる人の数が減るほど、残る人の負担は増えるのも現実です。
コロナ禍をきっかけに、PTA業務を簡素化・見直す動きも広がっています。会議のオンライン化、行事の縮小、ペーパーレス化など、改革は各地で進んでいます。
先生の働き方改革の流れで、学校側の業務も見直され、PTAが担う領域・重要度が拡大しているのが現状です。
PTAを通じて見えてくる“感謝”と“つながり”

PTAに関わると、見えてくるものがあります。
- 子どもたちの登下校を見守ってくれている地域の方々(旗振りボランティアなど)
- 学校行事の運営を支える裏方の努力
- 静かに準備や後片付けをしてくれている他の保護者たち
PTAを通じて、「自分の子どもがどれだけ多くの人に支えられているか」に気づくことができます。
その気づきが「ありがとう」という気持ちにつながり、また誰かを支える力になる。
「PTA会費を払っているだけでも、立派な貢献です」という考え方も大切にしたいところです。
さらに、子どもが低学年の頃は実感しづらくても、高学年になるにつれて「学校や地域の皆さんにうちの子を育ててもらった」という感謝の気持ちが芽生えてくることもあります。
私も会長を引き受けるまでは、どちらかと言えばPTAに否定的だったのですが、いざ関わってみると、子供達のために活動いただいている方々の存在に気づきました。私は子供が5人いて、一番下の子は小学6年生ですが、教職員、保護者、地域の皆様の協力があってこそ、無事に卒業できたと、内部にいたからこそ実感しています。
PTAを通じて学校に意見を届けるという役割

PTAは、保護者が学校に対して「もう少しこうしてほしい」を伝えるための、 “保護者の代表機関”という側面も持っています。
- 登下校の安全対策の強化
- 行事や役割の見直し
- 教職員との対話の場の確保
こういった要望は、PTAという組織があってこそ学校に届きやすいのです。
組織力が弱体化すれば、その発言力も弱まります。
保護者の声を届けるには、最低限のまとまりや連携が必要です。学校側にとっても、一定の代表性があるほうが受け止めやすくなります。
学校、行政、地域、保護者のバランスを保つことが重要。
PTAの運営は学校ごとに違う

ネットニュースやSNSで「PTAがひどい」「やめてよかった」といった声が目立ちますが、
実は、穏やかに・合理的に運営されているPTAも少なくありません。
でも「うまくいっている声」は話題になりにくく、表に出ないのが現実です。
PTAの運営方法は、学校や地域によって千差万別。 だからこそ、自分の子どもが通う学校のPTAに一度関わってみてからでも、退会は遅くありません。
柔軟な関わり方も可能に

最近は「全部やるか、全部やらないか」ではなく、
- イベント単位での参加
- 書類の校正など在宅でできる作業だけ担当
など、関わり方の選択肢も広がっています。
子どもたちの教育環境を守るために、“家庭・学校・地域”が協力し合う必要性が高まっている今、保護者の関わりはますます大切になってきています。
PTAじゃなくてもいい。でも“仕組み”は必要

PTAは存在せず、代わりに下記のような組織を立ち上げる学校も増えてきました。
- 保護者の会
- 父母会
- ボランティア登録制
それぞれの形態にメリット・デメリットはあるかと思いますが、存在することは大切なことです。何もない学校だと、内部のことがわからなかったり、保護者の意見を吸い上げることもできず、望まない方向に進む可能性だってあります。
大切なのは、子どもたちが安心して学び、育っていくための仕組みが、家庭と学校の間にしっかり存在していること。そのための組織を保護者が協力しあって維持していくこと。
まとめ|辞めてもいい。でも、関わってからでも遅くない

PTAは「絶対入らなきゃいけない」ものではありません。 でも、関わってみることで見える価値やつながりがあるのも事実です。
まずは1年だけ、少しだけ。 そして、「やっぱり無理」と思ったら、次年度は退会する。
そんな関わり方も十分にアリです。
自分と子どものために、そして一緒に支えてくれている誰かに感謝するために――
ニュースやSNSでのネガティブな情報だけで判断せずに、
“今の自分にできる関わり方”を考えてみる時間を、少しだけ取ってみてください。
