音に強い犬を選びたい?──ガンドッグ系犬種の特徴と音耐性から見る子犬選びのヒント

花火や雷、工事音など、私たちには何気ない音が犬にとっては大きなストレスになることがあります。とくに初めて犬を迎える方にとっては、将来的な「音恐怖症」のリスクをできるだけ避けたいと思うのは自然なこと。今回は、英国ブリストル大学の調査結果をもとに、音に対して比較的耐性があるとされるガンドッグ(銃猟犬)系犬種や、小型犬でも比較的音に強いとされる犬種について紹介します。犬種選びの参考にぜひご活用ください。

目次

ガンドッグとは?

“ガンドッグ”とは、主にハンターの補助として働く犬の総称で、銃声や自然環境の中での作業に慣れている犬種です。これらの犬は、人間のパートナーとして野外の過酷な環境でも冷静に行動できるよう選択繁殖されてきました。

主な役割カテゴリ

  • レトリーバー種:撃ち落とされた獲物を回収(例:ラブラドール・レトリーバー)
  • スパニエル種:藪の中で鳥を追い出す(例:イングリッシュ・スプリンガー・スパニエル)
  • ポインター/セッター種:獲物の位置を指し示す(例:イングリッシュ・ポインター)

音に強い傾向があるガンドッグ系犬種(英国調査より)

英国ブリストル大学(Rachel Casey, Emily Blackwellら)の研究では、音恐怖症の発症リスクと犬種との関係を調査し、以下のガンドッグ系犬種において、音恐怖症の割合が他犬種よりも有意に低かったことが示されています。

代表的な犬種と特徴

  1. ラブラドール・レトリーバー
    • 温厚で適応性が高い
    • 家庭犬としても非常に人気
    • 作業犬としても多く活躍
  1. ゴールデン・レトリーバー
    • 社交的で訓練性が高い
    • 子どもや他の動物との相性も良好
  1. イングリッシュ・スプリンガー・スパニエル
    • 明るく活発、作業意欲が高い
    • 小柄だが持久力あり
  1. コッカー・スパニエル(英系)
    • 家庭でも飼いやすく、陽気な性格
    • 外向的でフレンドリー
  1. イングリッシュ・ポインター
    • 繊細な一面もあるが、作業中は集中力が高い
    • 敏捷で運動量が多い
  1. チェサピーク・ベイ・レトリーバー
    • 頑健で冷水に強く、猟犬としての本能が強い
    • 自立心があるが、訓練は入りやすい

小型犬で音に強いとされる代表犬種

一般に小型犬は音に敏感な傾向があるとされていますが、その中でも比較的音刺激に強いとされる小型犬種も存在します。

代表的な小型犬種と特徴

  1. ノーフォーク・テリア / ノーリッチ・テリア
    • 作業犬のルーツを持ち、無駄吠えが少なく落ち着いた性格
    • テリア系としては音に対する反応が穏やか
  1. パグ
    • 温和でマイペースな性格
    • 大音量には驚くこともあるが、過剰なパニックは少なめ
  1. キャバリア・キング・チャールズ・スパニエル
    • スパニエルの血筋を持つため順応性が高い
    • 落ち着いていて音にも動じにくい
  1. フレンチ・ブルドッグ
    • 鈍感な一面があり、物音にもあまり神経質にならない
    • 都市部向きで音刺激が多い環境にも順応しやすい

ガンドッグの共通点:音に対する耐性の背景

これらの犬種は、もともと銃声が響く狩猟の場で作業するために繁殖されており、大きな音に対してパニックを起こしにくい特性が選択的に維持されてきたと考えられます。

  • 遺伝的に音刺激への反応がマイルド
  • 人との協働作業に慣れているため、飼い主の存在で安心できる
  • 作業環境での早期社会化が想定された犬種背景

音に弱い傾向がある犬種との違い

花火や雷、建設現場の爆音、誕生日のクラッカー、近隣での除草作業音など、犬にとって予測できない大音量はとくに強いストレスとなります。 対照的に、トイ犬種や超小型犬(例:チワワ、ポメラニアン、ヨーキーなど)には音に敏感な傾向が見られることが多く、物音への吠え・震えといった反応が出やすいと報告されています。また、社会化が不十分な犬や、成犬以降に迎えられた犬にも注意が必要です。

前飼っていた犬は、雷や花火に敏感だったのですが、ある日連れて行ったキャンプ場が自衛隊演習場の側で、戦車から発射される砲弾の音にビビり、車から出ようとしないことがありました。その子には相当なストレスだったはずです。事前にその辺りも調べ場所を決めるべきでした。

まとめ:子犬選びで「音への強さ」を重視するなら

もし家庭環境が騒がしい場所にある、または夏の花火大会や雷が多い地域に住んでいる場合には、ガンドッグ系の犬種や、音に強い傾向のある小型犬種を選ぶことが、長期的に安心できる飼育環境につながる可能性が高いです。

もちろん、すべての個体が必ず音に強いわけではありませんし、他の犬種でも耐性のある犬種はいます。しかし、遺伝的な傾向や性質を理解した上で子犬選びを行えば、愛犬との生活をより安定したものにする手助けとなるでしょう。

出典・参考資料

PLOS ONE (2019). “Noise sensitivity in 1225 dogs: Prevalence, age of onset, and risk factors.” https://journals.plos.org/plosone/article?id=10.1371/journal.pone.0218968

Casey R.A. et al. (2014). “Noise Sensitivity in Dogs: Prevalence, Risk Factors and Co-Morbidity.” Applied Animal Behaviour Science. https://doi.org/10.1016/j.applanim.2013.12.004

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