犬はケンカをしたくない!?争いを避けるための行動戦略とその読み取り方

犬同士が吠え合ったり唸ったりするのを見て、「うちの子はケンカっ早いのでは…?」と心配になったことはありませんか?
しかし実は、犬は本来「争いを避けたい」と考える平和的な動物です。

彼らは、ケンカになる前に多くのサイン(カーミングシグナル)を使って相手に「落ち着こう」「敵意はないよ」と伝えようとします。
本記事では、犬が争いを避けるために日常的に行っている行動や、その読み取り方、そして飼い主としてできるサポートについて解説します。

目次

🐕 犬は争いを避ける生き物

犬はもともと群れで生活する動物です。群れの中で深刻な争いが頻発すれば、集団としての秩序が崩れ、生存のリスクが高まってしまいます。

そのため犬は、相手と無用な衝突を起こさないための行動戦略=“カーミングシグナル”を進化の中で身につけてきました。
この行動は野生動物であるオオカミにも見られるもので、仲間と平穏に共存するためのコミュニケーション手段なのです。

✋ 犬の“争わないためのサイン”とは?

ここでは代表的なカーミングシグナル(緊張緩和のための行動)と、その意味・対処法を紹介します。

カーミングシグナル犬が伝えたいこと飼い主の対応例
あくび緊張を落ち着かせたい急がず見守る
視線をそらす敵意がない、落ち着こう目をそらして応える
地面の匂いを嗅ぐ自分を落ち着かせるしばらくそっとしておく
ゆっくり動く相手を刺激しないように大きな音や急接近を避ける
体を舐める(口元・前足)不安・緊張のセルフケア静かに環境を整える
背を向ける・お尻を向ける攻撃の意思がない近づきすぎていないか確認する

これらの行動は「怖がっている」「怒っている」ではなく、「争いたくない」というメッセージであることが多いのです。

👀 こんなとき、シグナルが出やすい

カーミングシグナルは、犬が「ちょっと緊張している」「相手が近い」「刺激が強い」と感じたときによく見られます。

  • 初対面の犬と会ったとき
  • 飼い主に叱られた直後
  • 大きな音や慣れない環境にいるとき
  • 動物病院の待合室などで不安を感じたとき
  • 知らない人に急に触れられそうなとき

このような場面で犬がカーミングシグナルを出していたら、無理に近づけたり触ったりしないことが大切です。

⚠️ サインを無視するとどうなる?

もし犬のカーミングシグナルを人間が見逃したり、無視して接触を続けてしまったりするとどうなるでしょうか?

初期の穏やかなサインが通じないと、犬は「もっとわかりやすく伝えよう」とします。
その結果、唸る → 吠える → 噛む という段階に進んでしまうことも。

これは「性格が悪い」「しつけができていない」からではなく、
「伝えていたのに聞いてもらえなかった」という、犬側の“最後の手段”なのです。

🤝 飼い主ができるサポートとは

飼い主が犬の争い回避行動を理解し、うまくサポートしてあげることで、犬は安心して暮らせるようになります。

✅ 相手の犬に無理に近づけない(リードで引っ張らない)
✅ 緊張しているときは、少し距離をとって見守る
✅ カーミングシグナルを見つけたら、落ち着くまでそっとしておく
✅ 犬同士を対面させるときは、時間をかけて丁寧に
✅ 「怖がり」や「反応しやすい」タイプの犬にも配慮を

そして何より、「犬はケンカをしたくてしているわけではない」ということを飼い主同士が共有しておくことがとても大切です。

🌱 まとめ:犬の“やさしさ”を読み取ろう

犬は本能的に、仲間との争いを避けるための行動をたくさん持っています。
その一つひとつを私たちが理解することで、犬との信頼関係はより深まり、安心できる日常が生まれます

あくびや視線の動きなど、一見“何気ないしぐさ”の中にも、犬たちの想いが込められているのです。
犬のサインに気づき、寄り添う心を持つことで、人と犬、犬同士のトラブルはきっと減らせます

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